第10回 : 熱対流とマントル対流


今回のテーマ

熱対流、マントル対流

キーワード: 対流、移流、レイリー数、プラントル数


方程式

水平な固体壁に挟まれた厚さ d の流体で、上下に温度差 ΔT がある場合を考える。鉛直面内の渦度をζ、温度を T = T' + βz とおくと、方程式は

ζt = αTx + ν∇2ζ                                   (1)

T't = -u T'x - w(T'z+β)  + κ∇2T'          (2)

となる。ここで、α cg で、c は膨張率、νは動粘性係数、κは熱拡散係数である。

(2) 式の、右辺第一項および第二項は「移流項」と呼ばれ、温度擾乱が流れによって運ばれることを表す。

上記方程式を無次元化して得られる無次元数はレイリー数と呼ばれ、

Re = cgΔTd3/νκ

で与えられる。Re が小さいと、対流は起こらず、非常に大きいと、乱流になる。対流が起こるぎりぎりの値を臨界レイリー数と呼び、理論的には 1708 である。

数値実験 (convection.f90)

時間ステップ Δt は、

Δt <  min ( 1/ν, 1/κ)/(kmax2 + lmax2)

で与えられ、kmax =π/Δx,  lmax=π/Δy である。


プラントル数

動粘性係数 ν と熱拡散係数 κ の比

Pr = ν/κ

をプラントル数という。普通の水のプラントル数は 7 程度で、動粘性の方が熱拡散より若干 (1桁弱) 大きい。これがマントル対流になると、熱拡散は小さいのに対して、動粘性係数はとても (たぶん10桁以上) 大きい。

そのような高プラントル数の対流の数値実験を前回のプログラムで行うと、時間ステップは動粘性係数による制限がもっともきつくなり、熱の拡散時間に対して、とてつもなく小さな値になってしまう。つまり、そのような状況では、とてつもなく大きな回数の積分が必要になる。

動粘性係数が大きいということは、ある浮力が与えられたとき、それに対応する流れが出来て定常状態に達するまでの時間が短い、ということである。すなわち、高プラントル数の対流では、熱の拡散に対して、物体の流れそのものは、瞬時に浮力と粘性が釣り合ってしまうと考えることが出来る。このことを使って、運動方程式の加速度項を無視して、上記の困難を回避する。

方程式

上の方程式で (1) の左辺を 0 とおくと

0 = αTx + ν∇2ζ                                    (3)

T't = -u T'x - w(T'z+β)  + κ∇2T'          (4)

となる。(1) 式より、流線関数 ψ は

4ψ = - α/ν Tx

となり、温度場から流速が直接求められる。

数値実験 (convection2.f90)