Logo2012年11月伊豆大島実験レポート

ほむら 三原山

 2012年11月、観測ロボットを使った火山観測についての情報交換の場として、第4回伊豆大島無人観測ロボットシンポジウムが開かれた。それに参加させていただく形で、ほむらチームも三原山(伊豆大島の火山)の麓にて実地テストを行った。

2011年大島実験からの機体の変更点

 今回は新しく機体を作り、実験に臨んだ。新機体と旧機体の写真を以下に挙げる。左が新機体、右が旧機体である。

ほむら新機体 ほむら旧機体

機体自体の主な変更点は2つある。
1つ目は無線機のアンテナのための中央の穴をなくし、電波が遮蔽されないように天板と底板をアクリル板にした点である。これにより機体内部のスペースが増え、搭載できる容量が増えた。
2つ目はモーターを独立したボックスに収めた点をである。モーターを完全に独立したボックスに収めてしまうことで、モーターのギアが壊れたときボックスごと変えられるようになったのでメンテナンスが容易になった。
機体の大きさ、重量の変化はほとんどない。

 機体以外の変更点を以下に挙げる。

携帯電話による通信

無線機に加えて携帯電話を搭載した。携帯電話を使用する利点は以下の通りである。

  1. 理論上、従来の通信速度の4倍の速度で通信ができる
  2. 携帯の回線があればどこでも使えるため現在の無線機では通信できない距離からの遠隔操作をできる

電池の並列化

 今までの実験では、各6つのモーターそれぞれ独立に電池1つずつ割り当てていた。 そのため走行場所によっては各モーターにかかる負荷が変わり電池が一様に消費されず偏って消費され、1つのモーターの電池が切れて動けなくなるケースがあった。 今回からモーターの電池を並列につないで6つの電池すべてをフルに使えるようにした。

カメラ

 通信方式を変更することより、カメラデータ取得時間を7秒から4秒に短縮した。
また、夜間でも撮影ができるようにLEDライトを機体前面に搭載した。

省電力モード

 長時間の観測ができるように、機体制御系の電力消費を抑えられる省電力モードを搭載した。


実験目的

 新機体での走行実験、携帯電話の通信による走行実験、夜間にほむらを三原山裏砂漠に設置し定期的に通信をする実験を行う。また、無人観測ロボットシンポジウムに参加し、情報交換を行うことが目的である。


実験1:走行実験

 三原山裏砂漠において、新機体での走行実験および携帯電話による通信での走行実験を行った。 走行した場所は下の地図の赤・青線部分である。赤線部分はおよそ200mであり、青線部分はおよそ1kmである。
裏砂漠で実験準備
新機体は旧機体との大きな変更はなかったので問題なく走行できたが、旧機体と同じくやわらかい地面のところでは車輪が地面を掘ってしまい動けなくことがあった。 また、携帯電話での通信では、無線機よりもカメラデータの受信が早くできるようになり、最短で4秒に1度ごとに走行しながら写真を取得できるようになった。 操作性能については、モーター制御のプログラムに不調があったため評価できていない。

裏砂漠で実験準備 ほむら

↑走行実験中の様子


実験2:夜間遠隔操作実験

ほむら降下場所 ひしゃげたチェーンカバー

↑夜間走行時にほむらが撮影した写真

 三原山裏砂漠において、省電力モードを併用しながら断続的に一晩観測する実験を行った。 裏砂漠にほむらを設置後、大島温泉ホテルから携帯電話を使った遠隔観測&制御である。。 一定時間おきに省電力モードと通常モードを切り替え、通常モード時に通信を行いカメラ、GPSデータの取得と走行を行った。 カメラ、GPSデータの取得は問題なく毎回行えた。下に夜間走行時にほむらに搭載したカメラで撮影した写真を挙げる。 走行についてはほむらのカメラ位置からの撮影では視点が低く、カメラデータをやり取りしながらだと操縦に時間差が生じるため操縦が困難だった。 総計して5.5時間(通常モード150分+省電力モード180分)ほどで制御系の電池が切れ、通信ができなくなった。 翌朝確認しに行ったところ、放置開始位置から200mほど走行できていた。ほむらの車輪の跡から見た走行場所は上の地図の赤線部分である。 制御系の電池を交換すると問題なく走行できたので、制御系の電池の容量を増やすなどすれば長時間設置し定期的に観測を行うことへの対応は可能だと言える。

ほむら降下場所
↑ほむらが夜間に走行した軌跡、走行距離はおよそ200m(直線170m)。

まとめ

 今回の実験で、携帯電話回線による通信でも走行が可能であり、現在使用している無線機では通信できない場所からの遠隔操縦に使えることを確認できた。 電池の容量を増やせば長時間定期的に観測を行うことも可能であることも分かったが、目視によらない操縦を行うには、コンパス等の操縦を補助する機器を充実させる必要がある。 目視による操縦はこれまでの結果から十分実用的だと言えるので、 今後、新機体の信頼性を上げ、観測機器を充実させて目視により実際に火口などの危険地帯に送って観測を行えるようにする予定である。


余談 デバッグ三昧

 結果的に何とか無事に終了した2012年伊豆大島実験だったが、裏では例年以上に大混乱の中での実験となった。今回の実験で使用したプログラムにことごとくバグが発見されたためであr。 新機体を作成したため、例年よりもプログラム作成にかけられる時間が少なかったのが原因だが、準備不足といわれても仕方がない状態だった。各種センサーやGPSから、カメラの制御、 果てはモーター制御用プログラムにまでバグが見つかり、伊豆大島にむかう最中や着いてからも毎晩のようにデバッグ作業に明け暮れた。結果、夜間遠隔操作実験を行うまでには何とか 一部センサーを除くすべての機能のプログラムを修正することに成功した。やはり、実験する以上は機能を絞ってでも十分準備すべきだと痛感した実験だった。


Mobile Sensor for Volcanic Observation "HOMURA"
火山観測用自走式センサー「ほむら」
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2012 11/10更新