2014年度 地球科学実験B(後期セメスター) 各実験の紹介

2014年度の実験は以下のテーマで行います。受講者は,一つの実験テーマを半期を通じて取り組みます


曜日 教員 分野 テーマ 内容
高橋 けんし 大気物理化学 大気汚染って、本当のところ、何がどうなってんの?  昨今、新聞やテレビでも話題の、PM2.5やエアロゾル、光化学オキシダントといった環境問題に関わるキーワード。あなたは、こうしたキーワードについて、どのくらいきちんと理解しているだろうか?この実験課題では、京都市付近の大気環境の測定を行い、その特徴を考察します。環境問題を、耳学問で知った気になるのではなく、体験によって"科学"しよう。
石川 尚人 地磁気 地球磁場の強さの変遷を探る 地球磁場は地球外からの高エネルギー粒子や放射線を遮蔽する役割をなしています。その地球磁場の強さは様々な時間スケールで変動しています。そこで、本実験では過去の地球磁場の強さを探ってみることにします。過去の地球磁場の情報は、岩石が持つ自然残留磁化から調べることができます。数千年前、数万年前、数十万年〜数百万年前に形成された岩石を用いて、過去の地球磁場の強さを推定することを試みます。実験に用いる試料は、実際に野外に行って採取することも計画しています。
小木曽 哲 岩石 火成岩からマグマを読む あらゆる岩石には、その岩石が出来た時の情報が記録されています。マグマが固まってできた火成岩からは、その岩石がマグマだったころの情報を読み取ることができます。本実験では、火成岩のもととなったマグマの温度を、火成岩から読み取ることを試みます。行う作業は、野外での火成岩採集、持ち帰った試料の薄片製作、偏光顕微鏡・電子顕微鏡による観察・分析、などです。
大野 照文 古生物 ペルム紀の海を復元する 京都市福知山市夜久野に露出する石灰岩を調べることで、古生代のペルム紀と呼ばれる時代(今から25000万年より少し前の時代)の浅海にどのような生き物が、どのようにして生きていたのかを調べる。※10月19日(日)には、現地での化石採集と調査をおこないます。
酒井 敏 気象 森の上の空気を計る 前期は大学構内と森(吉田山)の中の空気の温度と湿度を計り、その違いを調べました。後期はその上を計ってみたいと思います。たかが数十mですが、そのあたりの高さは非常に計りにくい高さでもあります。とりあえず、軽いロガーを作って風船で上げる作戦から試みたいと思います。
向井 厚志 重力 重力計の製作 地下構造やその変化を調べるための実用的な重力計は、人の体重が0.1ミリグラム変化する程度のわずかな重力変化を検出することができます。しかし、そうした重力計は内部機構が複雑で、測定の実感が得られにくくなっています。本実験では、できるだけ単純な仕組みで測定できる重力計の製作にチャレンジします。
伊藤 正一 隕石解剖学 隕石から太陽系の最初の姿を想像してみよう。 約46億年前に我々の太陽系は誕生し、現在では想像もできない灼熱地獄から我々の惑星の元となった火成岩が誕生しました。残念な事に、地球の石、月や火星の石でもこの最初の情報を記録した火成岩はみつかりません。しかしながら、太陽系最古の火成岩を含んだ隕石があります。その名もコンドライト隕石と呼ばれる隕石です。本実験では、我々太陽系の祖先となるコンドライト隕石を使って、太陽系開闢直後の化学組成、結晶化温度、冷却速度を推定し、太陽系の最初の物理化学条件を読み取る事を試みます。各自で生の隕石を観察し、対象物を決めてから研磨薄片を作成します。その薄片を使って、光学顕微鏡、電子顕微鏡、同位体顕微鏡による微量元素定量分析などを行う予定です。(最大6名まで)
鎌田 浩毅 火山地質 由布・九重・阿蘇火山の火山見学旅行 九州の由布・九重・阿蘇火山まで出かけて行き、現地で火山の堆積物を手にとって観察し、実際に起きた噴火現象を推理します。10月21日(火)14: 30に吉田南2号館3階304室に集合し、夕方に大阪南港から船に乗ります。翌朝22日(水)に別府観光港に着き、ジャンボタクシーで巡検し、阿蘇で1泊宿泊します。23日(木)はジャンボタクシーで巡検し、夕方に別府観光港から船に乗り、24日(金)早朝に京都に帰ります。1限の講義から出席可能。後期の実験を集中して行う火山フィールドワークです。船賃 ・ 宿泊費・食費などの実費は個人負担です。 [見学旅行の参考書:PHP 新書『火山はすごい』740円 (生協で販売中)] 
石川 尚人 堆積物 京都の海を探る 第四紀の氷期・間氷期変動により,海水準は大きく変動してきました.その中,間氷期に海水準が上昇したときに,海が京都盆地にまで侵入したことが,ボーリングコアの堆積物の調査より明らかになってきました.この実験では,本物のボーリングコアの試料を使って,京都盆地の海域,汽水域,淡水域の変化,ひいては環境変動を考察します.