2013年度 地球科学実験B(後期セメスター) 各実験の紹介


2013年度の実験は以下のテーマで行います。受講者は,一つの実験テーマを半期を通じて取り組みます。

曜日 教員 分野 テーマ 内容
向井 厚志 重力 重力計の製作

重力測定は地下構造やその変化を調べる方法のひとつであり、その測定装置にはバネの伸び縮みを利用した相対重力計などがあります。実用的な重力計は、人の体重が0.1ミリグラム変化するも検出するぐらい、わずかな重力の違いを測定することができますが、ブラックボックスのため、測定の実感が得られにくくなっています。本実験では、高さによる重力差の検出を目指して重力計の製作にチャレンジします。

大野 照文 古生物 古生物学入門=学問の楽しみ方入門 観察や観測に始まり、仮説をたて、検証・棄却するというループを繰り返しながら核心にせまってゆく科学の方法を楽しく身につける。まず、緻密な観察力、大胆な仮説構築・検証力、論敵との丁々発止のディベートを制する能力を鍛える。その後、野外調査と採取試料の調査を通じて鍛錬された能力を試す。ありふれたものが、半年後には今と全然違って見え、地球科学のみならず、広く自然・人文科学に通底する学問の楽しみかたに開眼することができる、、、、はずである。
高橋 けんし

大気化学

大気汚染って、本当のところ、何がどうなってんの?

昨今、新聞やテレビでも話題の、PM2.5やエアロゾル、光化学オキシダントといった環境問題に関わるキーワード。あなたは、こうしたキーワードについて、
どのくらいきちんと理解しているだろうか?この実験課題では、京都市付近の大気環境の測定を行い、その特徴を考察します。環境問題を、耳学問で知った気になるのではなく、体験によって"科学"しよう。

石川 尚人 地磁気 岩石のもつ過去の地磁気情報から大地の動きを探る 岩石は過去の地磁気情報を記録しています。その情報の応用として、その岩石を含む地塊の岩石形成時からの変動を推定することができます。本実験では、約1300万年前の岩石を対象にして、西南日本が被った変動を推察してみようと考えています。
福島 洋 地すべり 水を注入して地すべりを起こす

地すべりは、斜面の下にある弱面(すべり面)にかかる力が摩擦強度を上回ったときに起こります。地下水の水位が上昇すると地すべりが発生しやすくなりますが、なぜでしょうか。室内実験で調べてみましょう。

小木曽 哲 岩石

高圧実験で地球内部を探る

地球上には火成岩がたくさん分布しています。それらは、地下深くでマグマとして生成されたものが、地中を上昇して浅いところに貫入あるいは地上に噴出して
固結したものです。したがって、火成岩のもととなったマグマはどんなものか、そのマグマがどのようにして出来るのかを探っていくことで、実際に見に行くこ
とのできない地球の内部がどうなっているかを理解する手掛かりが得られます。本実験では、火成岩から地球内部のどんな情報を得ることができるのかを、高温高圧発生装置を使って実際にマグマをつくりながら考えます。

鎌田 浩毅 火山地質

由布・九重・阿蘇火山の火山見学旅行

九州の由布・九重・阿蘇火山まで出かけて行き、現地で火山の堆積物を手にとって観察し、実際に起きた噴火現象を推理します。10月21日(月)14:30に吉田南2号館3階304室に集合し、夕方に大阪南港から船に乗ります。翌朝22日(火)に別府観光港に着き、ジャンボタクシーで巡検し、阿蘇で1泊宿泊します。23日(水)はジャンボタクシーで巡検し、夕方に別府観光港から船に乗り、24日(木)早朝に京都に帰ります。1限の講義から出席可能。後期の実験を集中して行う火山フィールドワークです。船賃 ・ 宿泊費・食費などの実費は個人負担です。 [参考書:PHP 新書『火山はすごい』740円 (生協で販売中)](参考:2001年度実験の記録

酒井 敏 気象 Arduino UNO で気象観測

最近、非常に小型で精度の高いセンサが気楽に使えるようになりました。しかし、それらの多くはアナログ信号をデジタルに変換する機能だけでなく通信機能まで持っていて、それを使うには何らかのコンピュータ制御が必要です。そこで、小さなマイコン(Arduino)に、それらのセンサを接続し、気温、湿度、気圧、風速などの気象データを集めることを試みます。どこまでできるかは、やってみないとわからない。

松岡 廣繁 地史・古生物 化石や岩石から地球史を探る

地球史の”証人”である化石や岩石について、野外及び室内で実際に採取、標本・資料作成、観察を行う。採集のために、週末に1泊2
日の巡検(調査とサンプリング)に出かける。室内では、化石のクリーニングや写真撮影、岩石薄片の作成・観察等を実習するとともに、現生
生物の分類学・解剖学的知識など関連するテーマにも取り組む。最終目標として、巡検で観察・採集した地層や化石・岩石から、地域の「地
史」を編むことに取り組む。