2008年度 地球科学実験A 各実験の紹介


2008年度の実験は月曜日7テーマ,火曜日8テーマに分かれています。月曜および火曜日で受講者をそれぞれ7および8班に分け、2回を一つの実験テーマで行い、半期の内に各班5つの実験テーマで実習を行います。

曜日 教員名 分野 テーマ 内容
大塚 成昭 測地 高さの測定(水準測量)と地殻変動の監視

ここでのテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれています。この実験では総合人間学部のキャンパスから吉田山までの水準測量を行います。100m以上も離れた2地点間の高さの差をミリメートルの精度で測定します。先輩たちのデータと比べることで、地殻の上下変動を検出することを試みます。最近、日本中で地震が、相次いで発生しています。京都に地震が起こっても不思議ではありません。地震に関連して地殻変動が、あるかも知れません。少々の雨ならば傘をさしてでも屋外で実験を行いたいと思います。体を動かすことが好きな人、大歓迎。

石岡 圭一 地球流体 回転流体の基礎の基礎 大気や海洋などの地球流体運動には, 地球の自転が非常に大きく効いており,様々な特徴ある現象を引き起こす. この効果を回転台を使った実験で体感しみよう.
齋藤 昭則 流星 電波による流星の観測 流星は高度90km付近で発光すると同時にイオンと電子のプラズマを作ります。このプラズマによって反射される電波を大学屋上に設置するアンテナで受信して、流星の観測をします。
松岡 廣繁 地形・堆積 “出町デルタ”の地学:なぜ比叡山は、大文字山は、あんなにも高い? 京都の中央を流れる鴨川は、「出町デルタ」で東の高野川と西の賀茂川が合流したものである。河川レキを観察すると、高野川と賀茂川では岩石の種類が違うことに気付く。これは東山と西山の地質の違いを反映している。これを本実験で見てみよう。将来あなたが京都案内をするとき、人とはちょっと違った、地学フレーバーの効いた京都の見方をネタにできるかも。方位磁針を使った、自分で地図(ルートマップ)を描くテクニックも練習します。
堤 昭人 地質 京都の地質とプレートテクトニクス 京都周辺の山々には、ペルム紀~ジュラ紀の時代に海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に形成された,「付加体」という地質体が分布しています.この実習では京都の宝ヶ池公園を歩き,そこに露出する中生代「付加体」の観察を行い,また,室内でプレートテクトニクスに関する簡単な解析を行うこととで.京都の地質形成に関する知識を深めることを目的とします.
小木曽 哲 岩石 肉眼と顕微鏡による岩石の観察 地球内部の大部分は岩石でできています。岩石を観察する,ということは,地球を直接観察する,ということに他なりません。本実験では,岩石そのものを肉眼や実体顕微鏡で観察したり,薄くスライスした「薄片」を偏光顕微鏡で観察したりして,岩石から地球内部の情報を引き出す手法の基礎を学びます。
加藤 護 地震 地震の波形記録を扱ってみよう 地震計を見てみよう。地震波形を見てみよう、解析してみよう。
北原 達正 太陽 太陽の分光解析 太陽の表面温度の6000℃や、太陽大気中の構成原子はどのように決定されていったのだろうか。連続スペクトルと輝線スペクトルの実験から「光」の本質に迫る。また、飛騨天文台太陽望遠鏡で撮影された精密スペクトルの分析も行う。
向井 厚志 重力 可逆振子を用いた重力測定 本実験では、ケータ可逆振子を使って重力加速度を測定します。重力加速度には、地球の形状やその変化に関する情報が含まれています。重力測定の意義を理解するとともに、測定装置の正しい取り扱い方と、得られた測定値を整理・処理する方法を学びながら、精密な重力加速度の測定にチャレンジしてみましょう。
石川 尚人 物理探査 断層を“見てみよう” 京大キャンパスの東縁には北北東方向に走る「花折断層」があると推定されていて,その一部は周辺の地形に見ることができます。この実験では,キャンパスを出てその「花折断層」を見に行くとともに,物理探査法の一手法で,断層位置の推定に利用される「γ線探査法」を用いて,キャンパス内に「花折断層」の枝分かれがないかどうか,探ってみようと思います。
三宅 亮 地質 大文字山の岩石鉱物観察 大文字山を歩き,そこに産出する岩石鉱物の観察を行う。
河上 哲生 岩石 岩石の肉眼・実体顕微鏡・偏光顕微鏡観察

1週目:火成岩、堆積岩(一部化石を含む)、変成岩の多数の岩石試料を手にとって肉眼観察し、肉眼鑑定の初歩を学ぶと同時に実体顕微鏡で拡大して観察し、含まれる鉱物の特徴を理解する。2週目:火成岩、変成岩の試料の薄片を偏光顕微鏡を用いて観察し、1週目に肉眼観察した鉱物の偏光顕微鏡鑑定の初歩を学ぶ。南極やチベットなど、担当教員が実際に研究している岩石試料も用いる予定である。

宮澤 理稔 地震 震源の決定 吉田グラウンドで人工的に地震波を発生させて、その震源を決定します。また近年日本で発生した自然地震の震源を手作業で決定します。
酒井 敏 気象
吉田山クールアイランド
都市が周囲の郊外に対して高温になり、その高温領域が島のように現われる現象を都市のヒートアイランドと呼びます。これとは逆に、都市の中の公園などが周囲に比べて温度が低くなることをクールアイランドと呼びます。最近、ヒートアイランドはよく話題になりますが、ヒートアイランドもクールアイランドもそのメカニズムはよく判っていません。この実験では、京都大学に隣接した吉田山のクールアイランド現象を観測します。
金子 克哉 地球流体 伝わる,流れる,混ざる 地球では,熱や物が伝わったり(伝導,拡散),流れたり(対流)しながら移動し,混ざったり(混合),分かれたり(分離)する中で,様々な現象が引き起こされている.この実験では,水槽の中の流れを見ながら,地球の現象に思いをはせてみよう.