2007年度 地球科学実験B(後期セメスター) 各実験の紹介


2007年度の実験は以下のテーマで行います。受講者は,一つの実験テーマを半期を通じて取り組みます。

 

曜日 教官 分野 テーマ 内容
大塚 成昭 測地 高さの測定(精密水準測量)による地殻変動の検出 この実験での具体的なテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれています。この実験では総合人間学部のキャンパスから吉田山山頂までの精密水準測量を行います。君たちの測量結果と先輩たちの結果と比較して地殻上下変動の検出を試みます。前半は屋外で測量を行います。後半は、パソコンでデータ処理をし、発表会に向けてプレゼンテーションの準備をします。 体を動かすことが好きな人、晴れ男・晴れ女大歓迎(何しろ雨に降られると.....)。
紀本 岳志 生命起源 生命起源を推理する 生命起源では過去6年間原始海洋での非生物的アミノ酸合成に関しての新たなる知見を求めて未知の実験を行っている.この中で2003年までに新しいアスパラギン酸の合成法を発見し,それを結晶化させることに成功した.これからは,いよいよ絶対不斉合成の謎に迫りたいと思っている
大倉 敬宏 地震 地震計を作ってみよう

地震計を作ります。そして、それを阿蘇中岳第一火口そばの観測トンネル内に設置し、データをリアルタイムで京都へ転送することにトライします。

鎌田 浩毅 火山地質 由布・九重・阿蘇火山の火山見学旅行

九州の由布・九重・阿蘇火山まで出かけて行き、現地で火山噴火の堆積物を手にとって観察し、実際に起きた噴火現象を推理します。10月19日(金)14:30吉田南2号館4階412室に集合、夕方に大阪南港を出発し、翌朝別府観光港に着き、マイクロバスで巡検し、瀬の本ユースホステルに2泊宿泊します。22日(月)夕方に別府観光港から船に乗り、23日(火) 早朝に京都に帰ります。1限の講義から出席可能。後期半期分の
実験を集中して行う火山フィールドワークです。船賃・宿泊費などの実費は個人負担です。 [参考書:PHP 新書 『火山はすごい』740円 (生協で販売中)] (参考:2001年度実験の記録

齊藤 昭則 可視化
地球科学データの3次元的可視化

「様々な観測手法によって得られた地球科学データをGoogle Earth上へ3次元的にプロットし、異なるデータ間の比較を行う。まず、KMLやIDL等の計算機言語、WWWを用いたデータベース、Space physicsを中心とした地球科学について導入的部分を習得し、その後で、人工衛星からのオーロラ観測データなどの観測データを各人一つ選んでプロット・プログラムを作成する。」

北原 達正 太陽 宇宙天気予報と太陽フレアの解析 太陽からの高エネルギー粒子の流れ(太陽風)は宇宙時代の大きな脅威となっています。現在、日本・アメリカを中心に太陽風の大きな要因であるフレアーの解析を発展させ、その出現を予測しようというプロジェクトが進んでいます。名づけて「宇宙天気予報」。この実験では花山・ 飛騨天文台で撮影した太陽フレアーのHα画像を用いて画像解析を行い、その微細構造に迫ります。
西 憲敬 気象

北山しぐれを追う

冬が近づくと北西季節風が吹き始め、京都では北山しぐれとよばれるにわか雨や雪が降る。これらは主に京都北部の山地で発生した積雲系の雲によるものであるといわれている。しかし実際それらの雲がどこで発生し、どれくらいの寿命をもっており、またどのようにして京都市にやってくるのかは、あまりよくわかっていない。野外観測、全天カメラ、気象衛星画像などを用いて、しぐれの雲を追いかけよう。

鈴木 寿志 古生物

砥石型珪質泥岩の層序

京都に産する鳴滝砥石は古生代と中生代境界の生物大量絶滅時に堆積した泥岩である。この中に含まれるコノドント化石を調べ地質年代を明らかにする。また周囲のチャート層の年代も放散虫・コノドントにより明らかにする。

川本 竜彦 高圧実験 地球内部の水を可視光で見る

地球内部でどんなことが起こっているのか知るために、高圧や高温の世界を可視光で覗きます。
自分の目で見たり、CCDカメラでラマン散乱光をとらえたりします。観察を通して、地球内部の水の性質を理解することをめざします。

谷口 慶祐 地震 常時微動や脈動の特徴と地盤状態の関係

昨年・一昨年の観測において、比叡平や北山における常時微動の振幅や卓越周波数に特異な性質が見られました。今年は長周期地震計を用いてさらに詳しく調べたいと思います。

吉村 令慧 地球電磁気 自然電位異常の正体を探る
地表での自然電位測定は、主に地下の状態(地熱活動・鉱物の存在・流体の移動の有無など)を推定する目的で広く用いられる物理探査法の一つです。しかし、地球科学的に特異な場所(火山・断層周辺)での自然電位異常の解釈は、その発生要因が増えるため、非常に困難となります。そこで標準的な自然電位場を理解するため、過去3年にわたり大文字山一帯で自然電位測定を実施したところ、一見すると表層地質と相関の強い電位異常が検出されました。しかし、異常のすべては地質のみでは説明できず、更なる追求が必要です。