2005年度 地球科学実験A 各実験の紹介


2005年度の実験は月曜日7テーマ,火曜日8テーマに分かれています。月曜および火曜日で受講者をそれぞれ7および8班に分け、2回を一つの実験テーマで行い、半期の内に各班5つの実験テーマで実習を行います。

曜日 教官名 分野 テーマ 内容
         
北原 達正 太陽 太陽の分光解析 太陽の表面温度の6000℃や、太陽大気中の構成原子はどのように決定されていったのだろうか。連続スペクトルと輝線スペクトルの実験から「光」の本質に迫る。また、飛騨天文台太陽望遠鏡で撮影された精密スペクトルの分析も行う。
大塚 成昭 測地 高さの測定(水準測量) ここでのテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれています。この実験では総合人間学部のキャンパスから吉田山までの水準測量を行います。少々の雨ならば傘をさしてでも屋外で実験を行いたいと思います。100m以上も離れた2地点間の高さの差をミリメートルの精度で測定します。体を動かすことが好きな人、大歓迎。
大野 照文 古生物学 復元の科学入門  とっくの昔に死んでしまった化石はそのままでは何も語ってくれない。そこで、形や化石の中に刻み込まれた成長記録などから、過去の生物を「甦らせ」たり、あるいは、生息当時の環境を復元する手法、すなわち「復元の科学」の方法論を学ぶ。題材は、三葉虫や二枚貝とする。
 総合博物館が開発した小学校高学年用の教材をそのまま使う。果たして小学生より優れた推理が出来るだろうか。自分一人で考えたり、班の仲間と協力してディスカッションしたりしながら推理し、それを口頭でしっかりと表現する訓練も兼ねる。

一週目:三葉虫を調べてみよう 二週目:二枚貝を調べてみよう

各自準備し持参すべきもの: 鉛筆・消しゴム・ノート・物差し(20〜30センチ長)

実験を行う場所: この実験は、総合博物館南棟2Fのセミナー室で行います。月曜・火曜は休館日なので、通用口からしか入れません。迷わずに来てください。
地図の赤丸の位置に階段を下った所に半地下の通用口があります。入ってすぐの階段を上がってゆくと2Fに出ます。階段から廊下に出るとすぐにセミナー室があります。あわてなくて良いように事前に入り口を確かめておくこと。
評価: 出席点とレポートを総合して評価します。活発に意見を述べる人を尊重しますが、物静かで思慮深い人も評価されます。

連絡先 教官居室753-3280 総合博物館事務室753-3272
堤 昭人 地質実験 岩石の透水性 室内透水実験を通じて,岩石中の水の流れに関する基本的な性質を把握する
石岡 圭一 地球流体 回転流体の基礎の基礎 大気や海洋などの地球流体運動には, 地球の自転が非常に大きく効いており,様々な特徴ある現象を引き起こす. この効果を回転台を使った実験で体感しみよう.
山路 敦

野外地質

野外における地層観察 京都の宝ヶ池公園を歩き,そこに露出する中生代(6500〜2億4500万年前)の深海底で堆積した地層の観察を行う.
加藤 護 地震 地震の波形記録を眺めてみよう 地震計とはどういうものなのだろう。さまざまな地震の記録を眺めて、何が分かるのかを考えてみよう。・実際に、ハンマーで地面をどついて(日頃のストレスを発散し)人工的に地震を発生させ、記録してみよう。うまく記録できれば、その記録から、地面表層の構造を探ってみよう。
         
西田 潤一 重力 可逆振子による重力測定 地球の重力を正確に測定することは古くからの地球科学のテーマである。地球重力を測定することの意義を簡単に講義するとともに、その絶対測定を行ってみる。
酒井 敏 気象 身近な気温測定 ヒートアイランド現象など、都市規模の気象現象が最近よく話題になりますが、その実態に関してはあまり観測例がありません。そこで、まずは吉田キャンパス周辺で、場所による気温の違いを観測してみようと思います。
中串 孝志 惑星 火星ダストストームの追跡 2003年は史上最大の接近で大フィーバーとなった火星を語る上で不可欠な気象現象が「ダストストーム」です。フィーバーのさなかに発生したダストストームを、画像と地図を頼りに追跡し、その速度や高度の算出にチャレンジしてみましょう。
大見 士朗  地震 西南日本で発生する地震の震源決定 自分達の足元で発生したいくつかの地震の震源決定をやってみる。教材は、京大の地震観測網で記録された、近畿地方や中国地方で最近発生した地震の波形記録。主に作図によってこれらの地震の震源の位置を決めてみるが、そのほかに実際の業務で利用されている震源決定プログラムもコンピュータ上で試してみる。
三宅 亮 野外地質 大文字山の岩石鉱物観察 大文字山を歩き,そこに産出する岩石鉱物の観察を行う。
石川 尚人 物理探査 断層を“見てみよう” 京大キャンパスの東縁には北北東方向に走る「花折断層」があると推定されていて,その一部は周辺の地形に見ることができます。この実験では,キャンパスを出てその「花折断層」を見に行くとともに,物理探査法の一手法で,断層位置の推定に利用される「γ線探査法」を用いて,キャンパス内に「花折断層」の枝分かれがないかどうか,探ってみようと思います。
中村 大輔 岩石 偏光顕微鏡を用いた岩石の観察 地球を構成している岩石の種類を解説し、代表的な岩石の観察をしてもらう。また日本列島のような沈み込み帯の地下深部で起きている現象を解説し、実際に地下深部まで沈み込んだ岩石である高圧変成岩を観察してもらう。
金子 克哉 地球流体 伝わる,流れる,混ざる 地球では,熱や物が伝わったり(伝導,拡散),流れたり(対流)しながら移動し,混ざったり(混合),分かれたり(分離)する中で,様々な現象が引き起こされている.この実験では,水槽の中の流れを見ながら,地球の現象に思いをはせてみよう.