2003年度 地球科学実験B 実験の紹介


2003年度の実験は,各曜日とも6テーマに分かれています。受講者を6班に分け、 セメスターを通して,ひとつの実験テーマに取り組みます.実験の最終回には,成果発表会を行います.

曜日 教官名 分野 テーマ 内容
         
北原 達正 太陽 太陽フレアの画像解析 飛騨天文台で撮影した太陽表面のHα画像をスキャナで読み込んで画像解析を行います.対象は太陽表面の爆発現象,フレアです.
大塚 成昭 測地 吉田山山頂に水準点を作ろう ここでのテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれていて、例年、総合人間学部のキャンパスから吉田山中腹までの精密水準測量を行ってきました。先輩たちの結果と比較して地殻変動の検出を試みます。
今年は、それに加えて、吉田山の山頂に水準点を設置したいと考えています。前半は、水準点設置作業と屋外での測量を行います。後半は、パソコンでデータ処理をします。体を動かすことが好きな人、大歓迎。
紀本 岳志 生命起源 生命起源を推理する 生命起源では過去5年間原始海洋での非生物的アミノ酸合成に関しての新たなる知見を求めて未知の実験を行っている.この中で昨年までに新しいアスパラギン酸の合成法を発見した.本年は,この新合成法の最適条件を探るとともに生成したアミノ酸を結晶化させその特性を調べる.
川方 裕則 地震 断層のすべり方の特徴を探ろう 地震は断層がすべることによって発生する.地震が発生するときに,断層面はどのようにすべるのだろうか?実際に観測される地震の波形から,よくすべる部分とあまりすべらない部分が存在することがわかってきている.どのような部分がよくすべり,どのような部分があまりすべらないのか,摩擦の性質がいろいろに違う物体をバネでつなぎ,ベルトコンベアで引っ張りながら,擬似地震を発生させ,その特徴を探り,地震の起こり方・成長のしかたにせまる.
吉村 令慧 地球電磁気 自然電位(地電流)のマッピング 大地には、種々の自然現象を原因とする電位異常が存在し、常に電流が流れています。また、場所によっては、人工物起因の電流が大きい場合もあります。自然電位測定は、主に地下の状態(地熱活動・鉱物の存在・流体の移動の有無など)を推定する目的で実施されるため、人工ノイズが多いと考えられる都市部での観測例はほとんどありません。この実験では、大文字山もしくは京大周辺で自然電位を測定し、電位異常のマッピングを行います。また、マッピング結果から、電位異常の発生原因の推定を試みます。
石川 尚人 堆積物 堆積物に残された環境変動情報を探る 堆積物は地球環境の変動の情報を記録しうる媒体である。そこで,池(理学部植物園)にたまった堆積物をコアとして採取し,そこから環境変動(特に地球磁場変動に着目)に関わる情報が取り出せるかどうか試みる。
         
中串 孝志 惑星 火星の夕焼けは本当に青いのか? 「地球の夕焼けは赤いが、火星の夕焼けは青い」という火星探査機の観測事例があります。これは、どちらも大気中に浮かぶ「粒子」による太陽光の散乱で起こる現象です。地球では大気分子による散乱が、火星では大気中の浮遊ダストによる散乱が、それぞれ効いています。そこで、この実験では簡単な「入れもの」を作ってその中で「こな」を舞い上がらせ、光を当てて、火星の夕焼けを再現‥‥できるんでしょうか?やってみましょう。
西田 潤一 重力 比叡山体を構成する岩石の平均密度の推定 重力異常を考察するとき地下の岩石の平均密度をどう推定するかが重要である。比叡山で高度の異なる場所で重力測定を行い、重力の鉛直勾配を利用して山体を構成する岩石の平均密度を求めてみよう。
西 憲敬 気象 ヒートアイランドの観測 全球規模の地球温暖化が、大きな社会問題となっている。しかし、これよりずっと身近にあって、より顕著に観測される高温化現象は、都市のヒートアイランド現象である。地面付近の境界層の理論が完全でなく、また小規模対流のシミュレーションも想像以上に難しいため、我々の想像ほどその全貌がわかっていないのがこの現象である。当実験では、精密温度計などを用いて、実際の都市温度分布の観測を行うことを通して、ヒートアイランド現象の理解を目指す。
谷口 慶祐 地震 断層で地震観測 断層近傍で地震波(相対変位)を観測する装置を作って、北陸観測所に設置したいと思います。遠隔操作で収録条件を変更できるように工夫しましょう。また記録の解析も行います。解析には既存の記録を使うかもしれません。
前田 晴良 化石 化石の分析 自然状態のままの硬い岩石ブロックの中から自分の手で化石(二枚貝・アンモナイトなど)を掘り出す作業を経験してもらい,化石から何が読みとれるかを考察する.
鎌田 浩毅 火山地質 阿蘇火山と由布火山の火山見学旅行 九州の阿蘇火山・由布火山まで出かけて行き、現地で火山噴火の堆積物を手にとって観察し、実際に起きた噴火現象を推理します。10月31日(金)夕方に大阪南港を出発し翌朝別府港に着き、マイクロバスで阿蘇火山まで巡検し、「国立阿蘇青年の家に 2泊宿泊します。3日(月;祝日)夜の船に乗り4日(火)早朝に京都に帰ります。後期半期分の実験を集中して行う火山フィールドワークです。[参考書:PHP 新書 『火山はすごい』740円 (生協で販売中)]  (参考:2001年度実験の記録

 

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