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気温は低くても暑い

熱を持つ物体からは絶対温度の4乗に比例する強さの電磁波(室温では赤外線)が出ます。我々の身の回りの温度は大体300Kくらいですから、その温度に対応して1m^2あたり約460Wくらいの赤外線が出ています。我々自身も同じくらいの温度で同じくらいの赤外線を出していますので、周りの物体から受け取る赤外線から自分が出す赤外線を差し引きすると大体ゼロになり特に熱を感じませんが、周りの物体がさらに熱くなると、物体が出す赤外線が上回りますので熱さを感じます。

一言に赤外線と言っても非常に幅広く、赤外線通信などに使われる近赤外線(波長1μm程度)から、非常に波長の長いものまでありますが、身の回りの物体の温度にお応じて出る赤外線を熱赤外線(だいたい波長10μmくらい)と言います。この熱赤外線によって熱が放射されることを、熱放射熱輻射などと言い、放射される熱を輻射熱と言ったりします。また、熱い路面からの熱輻射のことを「照り返し」とも言います。

物体の温度が室温から1度上がると、放出する赤外線は1m^2あたり約6W増えます。この原理で熱を放出するのが赤外線ストーブです。赤外線ストーブはヒーターを熱して赤外線を放出し、空気を温めるのではなく、赤外線が当たった物体を直接温めます。赤外線は目に見えないので、理解しにくいかもしれませんが、赤外線は光の一種なので、サーモグラフィーなどの赤外線を検出できるカメラで見ることができます。

全方向から受ける熱放射の平均値を温度で表したものを平均放射温度(MRT)といいます。人間の表面積を1m^2程度とすると、MRTが1℃上がると人間が受け取る熱量は約6W増えます。6Wという熱量はちょっとピンと来ないかもしれませんが、使い捨てカイロの発熱量がだいたい1Wと言われていますので、これを参考にするとわかりやすいかもしれません。

夏の炎天下では街の路面は60℃以上になります。仮に無限に広い路面の上に立っていて、路面より上の温度は変わらないものとすると、路面温度が30℃の時と60℃の時ではMRTで約15℃の差が出ます。このとき、その路面の上に立っている人が受け取る熱量を上記のように計算すると90W増えることになります。つまり、使い捨てカイロ90枚分の差が出ることになります。周囲の物体の表面温度が重要である事がこれで理解できると思います。