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ヒートアイランドの原因

ヒートアイランドの原因として、様々な説がありますが、代表的なものをいくつか挙げてみます。

1.人工排熱

都市部では人間活動によって多くの熱が排出されます。これが都市の気温を上げているという説です。確かに、夜間に大気が安定性層して動きがなくなった状態で熱を出せば気温が高くなります。しかし、夏の昼間に関して言うと、太陽からの熱量が約1KW/m^2であるのに対して、都市部の排熱量はそれより一桁小さい値です。太陽からの熱を上空に運ぶために地上気温はほとんど上がっていないということを考えれば、人工排熱によって何度も気温が上昇することはまず考えられません。

2.熱慣性

都市部を構成するアスファルトやコンクリートが高い熱容量を持つために、熱をため込んでしまうという説です。これも、夜間のヒートアイランドの説明としては正しいのですが、昼間に関して言えば逆で、都市部の温度を上げない要因として働きます。

3.蒸散

都市には植物が少ないために、水が蒸発しにくく、その分、気温が上がりやすいという説です。確かに水の蒸発熱は大きいのですが、太陽からの日射量はさらに大きく、夏の1日では約30MJ/m^2の熱量を地表面は受け取ります。これは水を15mm蒸発させる熱量に相当します。1年の降水量が1000mmであり、その半分くらい?は川から海に流れ出ていることを考えれば、降水でこれを賄うことが難しい事がわかります。

また、植物は常に盛んに蒸散するわけではなく、特に暑い日中には気孔を閉じて蒸発を防ごうとします。もし、植物の蒸散効果が気温に大きく影響しているとすれば、涼しい朝方には植物の盛んな蒸散作用により気温が上がりにくく、太陽が高く上ると植物が気孔を閉じるために一気に気温が上がるということが起こると予想されますが、そのような現象は聞いたこともありませんし、実際の気温の変化を見ると逆に気温の上昇は明け方が(特に郊外では)一番大きく、昼前に頭打ちになります。つまり、植物の活動が気温に大きな影響を与えているという証拠は見つかりません。

4.輻射熱

夏の日中、都市の表面温度は非常に高くなります。高温の物体からは強い赤外線が輻射されるため、高温の表面に囲まれた都市部は暑くなるという説です。上記3つの要因は「気温」に関わるものですが、輻射熱は気温とは基本的に無関係です。気温が低くても熱いものが近くにあれば、暑さを感じます。

これらの理由のうち、1と2は夜のヒートアイランドの説明としては正しいのですが、昼間に関しては成り立ちません。3に関しては、確かに水が豊富にあれば効果があるかも知れませんが、通常の降水量の範囲では、蒸散による効果は限定的であると考えざるを得ません。

実際に都市部と郊外の気温を観測すると、日中には都市部と郊外の気温差がほとんどありませんので、気温に関する1-3の理由は昼間の暑さの理由にはなりません。日中に都市部で暑く感じる理由としては、4しかないのです。