2010年度 地球科学実験A 各実験の紹介


2010年度の実験は各曜日8テーマに分かれています。月曜および火曜日で受講者をそれぞれ8班に分け、2回を一つの実験テーマで行い、半期の内に各班5つの実験テーマで実習を行います。

曜日 教官名 分野 テーマ 内容

大塚 成昭 測地 高さの測定(水準測量)と地殻変動の監視 ここでのテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれています。この実験では総合人間学部のキャンパスから吉田山までの水準測量を行います。100m以上も離れた2地点間の高さの差をミリメートルの精度で測定します。先輩たちのデータと比べることで、地殻の上下変動を検出することを試みます。最近、日本中で地震が、相次いで発生しています。京都に地震が起こっても不思議ではありません。地震に関連して地殻変動が、あるかも知れません。少々の雨ならば傘をさしてでも屋外で実験を行いたいと思います。体を動かすことが好きな人、大歓迎。

石岡 圭一 地球流体 回転流体の基礎の基礎 大気や海洋などの地球流体運動には, 地球の自転が非常に大きく効いており,様々な特徴ある現象を引き起こす. この効果を回転台を使った実験で体感しみよう.

能勢 正仁 地磁気 地球の磁場を測ろう 地球は、それ自身が大きな磁石になっています。その磁場はどのくらいの大きさで、1日のうちにどのように変化しているのでしょうか。この実験では、実際に磁力計を使って測定を行い、データの整理を通してこの問題の答えを見つけ、さらにその原因となる超高層(高度100kmから約40000km)の現象について学びます。

佐藤 活志 地質構造 付加体の地質構造解析

京都盆地の基盤は、ジュラ紀のプレートテクトニクスによって形成された「付加体」と呼ばれる地質体で構成されています。この実習では、宝ヶ池公園を歩いて付加体の観察を行い、野外地質調査の初歩を体験します。また、付加体に見られる断層・褶曲などの地質構造から、地質時代の地殻変動の様子を探る解析を行います。

渡邊 裕美子 地質

大文字山の岩石鉱物観察

大文字山を歩き,そこに産出する岩石鉱物の観察を行う。

小木曽 哲 岩石

肉眼と顕微鏡による岩石の観察

地球内部の大部分は岩石でできています。岩石を観察する,ということは,地球を直接観察する,ということに他なりません。本実験では,岩石そのものを肉眼や実体顕微鏡で観察したり,薄くスライスした「薄片」を偏光顕微鏡で観察したりして,岩石から地球内部の情報を引き出す手法の基礎を学びます。

加藤 護 地震 地震の波形記録を扱ってみよう 地震計を見てみよう。地震波形を見てみよう、記録を読み取ってみよう。

石川 尚人 堆積物 京都盆地の堆積物

京都盆地は東西両縁に断層運動による急崖を持つ盆地です。その中には大阪層群という氷期-間氷器変動の影響を受けた堆積物が堆積しています。京大周辺の断層地形・堆積物の巡検と京都盆地の堆積物の解析を通じて、京都盆地の成り立ちについて思いを巡らしてみます。

北原 達正 太陽 太陽の分光解析 太陽の表面温度の6000℃や、太陽大気中の構成原子はどのように決定されていったのだろうか。連続スペクトルと輝線スペクトルの実験から「光」の本質に迫る。また、飛騨天文台太陽望遠鏡で撮影された精密スペクトルの分析も行う。

向井 厚志 重力 可逆振子を用いた重力測定 ケータ可逆振子を使って重力加速度を測定します。重力は地球内部の質量分布やその変動を捉える重要なシグナルのひとつです。上下反転可能な測定装置の仕組みと測定値の処理方法を学びながら、精密に重力加速度を測定してみましょう。

河上 哲生 岩石 肉眼と実体・偏光顕微鏡による岩石の観察 地球表層に産する代表的な火成岩・変成岩・堆積岩の観察を行う。1回目は肉眼と実体顕微鏡により観察を行い、どのような形状・組成の鉱物からこうした岩石が出来ているのかを理解してもらう。2回目はこうした岩石のうち代表的なものを25-30ミクロンに薄く削って作成した「薄片」を偏光顕微鏡で観察し、どのような情報が取れるのか、どのように鉱物を鑑定するのかを概説し、実習する。取り扱う岩石は主として国産のものであるが、担当教員が研究している南極大陸などの岩石も用いる。

関口 春子 地震 最強地震動を再現する

観測された記録をもとに,大加速度・大速度を記録したの地震の揺れや,大きな被害を引き起こした地震の揺れを再現することを試みます.大きな揺れと言っても地震や観測された場所によって,その顔つきは様々です.その原因も考えます.

大倉 敬宏 地球熱学 地面のお熱を測ります 地中温度の測定とそのデータ解析を行います

石川 尚人

地質

京大周辺散策 京大吉田キャンパスー吉田山ー大文字山を歩きながら、京都盆地の地形とそれを形作るもの(岩石、堆積物)をみて、京都盆地の成り立ちについて考えていきます。

酒井 敏 気象 比叡山山頂と京都盆地の気温測定 京大キャンパスと比叡山山頂では、どちらの気温のほうが低いでしょうか? 常識的には標高が高い山頂のほうが気温が低い。でも、ほんとかな?

金子 克哉 地球流体 伝わる,流れる,混ざる 地球では,熱や物が伝わったり(伝導,拡散),流れたり(対流)しながら移動し,混ざったり(混合),分かれたり(分離)する中で,様々な現象が引き起こされている.この実験では,水槽の中の流れを見ながら,地球の現象に思いをはせてみよう.