2006年度 地球科学実験A 各実験の紹介


2006年度の実験は月曜日7テーマ,火曜日8テーマに分かれています。月曜および火曜日で受講者をそれぞれ7および8班に分け、2回を一つの実験テーマで行い、半期の内に各班5つの実験テーマで実習を行います。

曜日 教官名 分野 テーマ 内容
         
大塚 成昭 測地 高さの測定(水準測量) ここでのテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれています。この実験では総合人間学部のキャンパスから吉田山までの水準測量を行います。少々の雨ならば傘をさしてでも屋外で実験を行いたいと思います。100m以上も離れた2地点間の高さの差をミリメートルの精度で測定します。体を動かすことが好きな人、大歓迎。
大野 照文 古生物学 復元の科学入門  とっくの昔に死んでしまった化石はそのままでは何も語ってくれない。そこで、形や化石の中に刻み込まれた成長記録などから、過去の生物を「甦らせ」たり、あるいは、生息当時の環境を復元する手法、すなわち「復元の科学」の方法論を学ぶ。題材は、三葉虫や二枚貝とする。
 総合博物館が開発した小学校高学年用の教材をそのまま使う。果たして小学生より優れた推理が出来るだろうか。自分一人で考えたり、班の仲間と協力してディスカッションしたりしながら推理し、それを口頭でしっかりと表現する訓練も兼ねる。

一週目:三葉虫を調べてみよう 二週目:二枚貝を調べてみよう

各自準備し持参すべきもの: 鉛筆・消しゴム・ノート・物差し(20〜30センチ長)

実験を行う場所: この実験は、総合博物館南棟2Fのセミナー室で行います。月曜・火曜は休館日なので、通用口からしか入れません。迷わずに来てください。
地図の赤丸の位置に階段を下った所に半地下の通用口があります。入ってすぐの階段を上がってゆくと2Fに出ます。階段から廊下に出るとすぐにセミナー室があります。あわてなくて良いように事前に入り口を確かめておくこと。
評価: 出席点とレポートを総合して評価します。活発に意見を述べる人を尊重しますが、物静かで思慮深い人も評価されます。

連絡先 教官居室753-3280 総合博物館事務室753-3272
齋藤 昭則 流星 電波による流星の観測 流星は高度90km付近で発光すると同時にイオンと電子のプラズマを作ります。このプラズマによって反射される電波を大学屋上に設置するアンテナで受信して、流星の観測をします。
石岡 圭一 地球流体 回転流体の基礎の基礎 大気や海洋などの地球流体運動には, 地球の自転が非常に大きく効いており,様々な特徴ある現象を引き起こす. この効果を回転台を使った実験で体感しみよう.
三宅 亮

野外地質

大文字山の岩石鉱物観察 大文字山を歩き,そこに産出する岩石鉱物の観察を行う。
石川 尚人 物理探査 断層を“見てみよう” 京大キャンパスの東縁には北北東方向に走る「花折断層」があると推定されていて,その一部は周辺の地形に見ることができます。この実験では,キャンパスを出てその「花折断層」を見に行くとともに,物理探査法の一手法で,断層位置の推定に利用される「γ線探査法」を用いて,キャンパス内に「花折断層」の枝分かれがないかどうか,探ってみようと思います。
加藤 護 地震 地震の波形記録を眺めてみよう 地震計とはどういうものなのだろう。さまざまな地震の記録を眺めて、何が分かるのかを考えてみよう。・実際に、ハンマーで地面をどついて(日頃のストレスを発散し)人工的に地震を発生させ、記録してみよう。うまく記録できれば、その記録から、地面表層の構造を探ってみよう。
         
向井 厚志 重力 可逆振子による重力測定
本実験では、重力加速度を測定します。 重力加速度は場所や時間によって変わり、地球の形状、地球内部の 構造や動きに関する情報を含んでいます。重力測定の意義を学びながら、重力加速度の絶対測定を行なってみましょう。
酒井 敏 気象 身近な気温測定 ヒートアイランド現象など、都市規模の気象現象が最近よく話題になりますが、その実態に関してはあまり観測例がありません。そこで、まずは吉田キャンパス周辺で、場所による気温の違いを観測してみようと思います。
北原 達正 太陽 太陽の分光解析 太陽の表面温度の6000℃や、太陽大気中の構成原子はどのように決定されていったのだろうか。連続スペクトルと輝線スペクトルの実験から「光」の本質に迫る。また、飛騨天文台太陽望遠鏡で撮影された精密スペクトルの分析も行う。
大見 士朗  地震 西南日本で発生する地震の理解
自分達の足元で発生する地震のことを理解しよう。教材は、京大や他の機関の 地震観測網で観測された、西南日本で最近発生した地震の記録。地震の震源決 定、地球内部を伝わる地震波の速度の決定、地震を引き起こした断層の大きさ の考察、などの実習を行なう。また、これから数十年のうちには必ず発生する といわれている、南海・東南海地震のほか、近畿地方に被害を及ぼす可能性を 指摘されている地震についての解説も行なう。
田上 高広 山の形成過程とそれをもたらすグローバルテクトニクス入門 初回はビデオなどを用いて、地球上に存在する2種類の山(火山と山脈)の出来方を紹介し、地球のダイナミズムを(模擬)体感する事を目指す。2回目は、紙と鉛筆などを使って、プレート運動の簡単な解析を行う。
成瀬 元 野外地質
野外における地層観察 京都の宝ヶ池公園を歩き,そこに露出する中生代(6500〜2億4500万年前)の深海底で堆積した地層の観察を行う.
河上 哲生 岩石 岩石の肉眼・偏光顕微鏡による観察
岩石と言っても多種多様です。宝石級の鉱物を含むものもあれば、地味な見た目のものもあります。 本実験では、地殻・マントルを構成している様々な岩石を実際のサンプルにふれながら肉眼観察し、 自分が野外に出た際に、どんな場でどうやってできた岩石であるか程度は識別できるようになりましょう。
また、岩石を薄くスライスして作った「薄片」を偏光顕微鏡を用いて観察することで、 岩石が隠し持つ情報を引き出し、個々の岩石がどうやってできたかを考えてみましょう。
金子 克哉 地球流体 伝わる,流れる,混ざる 地球では,熱や物が伝わったり(伝導,拡散),流れたり(対流)しながら移動し,混ざったり(混合),分かれたり(分離)する中で,様々な現象が引き起こされている.この実験では,水槽の中の流れを見ながら,地球の現象に思いをはせてみよう.