2004年度 地球科学実験A 各実験の紹介


2004年度の実験は8テーマに分かれています。各曜日とも受講者を8班に分け、2回を一つの実験テーマで行い、半期の内に各班5つの実験テーマで実習を行います。

曜日 教官名 分野 テーマ 内容
         
北原 達正 太陽 太陽フレアの解析 太陽表面で起きる爆発現象「太陽フレア」を解析する。飛騨天文台で撮影されたHα線画像のデジタルデータを用いて、パソコンで画像解析をする。
大塚 成昭 測地 高さの測定(水準測量) ここでのテーマは「高さ」です。「高さ」の測定は「水準測量」と呼ばれています。この実験では総合人間学部のキャンパスから吉田山までの水準測量を行います。少々の雨ならば傘をさしてでも屋外で実験を行いたいと思います。100m以上も離れた2地点間の高さの差をミリメートルの精度で測定します。体を動かすことが好きな人、大歓迎。
大野 照文 古生物学 復元の科学入門  とっくの昔に死んでしまった化石はそのままでは何も語ってくれない。そこで、形や化石の中に刻み込まれた成長記録などから、過去の生物を「甦らせ」たり、あるいは、生息当時の環境を復元する手法、すなわち「復元の科学」の方法論を学ぶ。題材は、三葉虫や二枚貝とする。
 総合博物館が開発した小学校高学年用の教材をそのまま使う。果たして小学生より優れた推理が出来るだろうか。自分一人で考えたり、班の仲間と協力してディスカッションしたりしながら推理し、それを口頭でしっかりと表現する訓練も兼ねる。

一週目:三葉虫を調べてみよう 二週目:二枚貝を調べてみよう

各自準備し持参すべきもの: 鉛筆・消しゴム・ノート・物差し(20〜30センチ長)

実験を行う場所: この実験は、総合博物館南棟2Fのセミナー室で行います。月曜・火曜は休館日なので、通用口からしか入れません。迷わずに来てください。
地図の赤丸の位置に階段を下った所に半地下の通用口があります。入ってすぐの階段を上がってゆくと2Fに出ます。階段から廊下に出るとすぐにセミナー室があります。あわてなくて良いように事前に入り口を確かめておくこと。
評価: 出席点とレポートを総合して評価します。活発に意見を述べる人を尊重しますが、物静かで思慮深い人も評価されます。

連絡先 教官居室753-3280 総合博物館事務室753-3272
玉井 雅人 地磁気 地磁気の測定 地磁気(地球磁場)は,日常生活で意識することはほとんどないが,地球の重要な性質の一つである.地磁気がベクトルで表現されることを認識するために,地磁気の要素(方向と大きさ)を,いくつかの方法で測定してみよう.
三宅 亮 岩石 大文字山に産出する岩石の顕微鏡観察 大文字山に産出する岩石(花崗岩または変成岩)を題材として、顕微鏡で観察するための岩石プレパラートを自分たちで作製していただきます。その顕微鏡観察を通して、花崗岩と変成岩の違いなどを考察します。
成瀬 元

野外地質

野外における地層観察 京都の宝ヶ池公園を歩き,そこに露出する中生代(6500〜2億4500万年前)の深海底で堆積した地層の観察を行う.
加藤 護 地震 地震の波形記録を眺めてみよう 地震計とはどういうものなのだろう。さまざまな地震の記録を眺めて、何が分かるのかを考えてみよう。・実際に、ハンマーで地面をどついて(日頃のストレスを発散し)人工的に地震を発生させ、記録してみよう。うまく記録できれば、その記録から、地面表層の構造を探ってみよう。
酒井 敏 気象 逆転層を計る 大気はふつう高度が上るにつれて温度が下がるが、夜間など地表温度が下がると、地表付近で下層のほうが温度が低い「逆転層」が形成される。この逆転層が形成されにくくなっていることが、最近、話題になっている都市のヒートアイランド現象の原因のひとつでもある。この実験では、吉田山と大学キャンパスの高度差を利用して、この接地逆転層の形成過程を調べる。
         
西田 潤一 重力 可逆振子による重力測定 地球の重力を正確に測定することは古くからの地球科学のテーマである。地球重力を測定することの意義を簡単に講義するとともに、その絶対測定を行ってみる。
石岡 圭一 地球流体 回転流体の基礎の基礎 大気や海洋などの地球流体運動には, 地球の自転が非常に大きく効いており,様々な特徴ある現象を引き起こす. この効果を回転台を使った実験で体感しみよう.
中串 孝志 惑星 火星ダストストームの追跡 昨年は史上最大の接近で大フィーバーとなった火星を語る上で不可欠な気象現象が「ダストストーム」です。昨年のフィーバーのさなかに発生したダストストームを、画像と地図を頼りに追跡し、その速度や高度の算出にチャレンジしてみましょう。
大見 士朗  地震 西南日本で発生する地震の震源決定 自分達の足元で発生したいくつかの地震の震源決定をやってみる。教材は、京大の地震観測網で記録された、近畿地方や中国地方で最近発生した地震の波形記録。主に作図によってこれらの地震の震源の位置を決めてみるが、そのほかに実際の業務で利用されている震源決定プログラムもコンピュータ上で試してみる。
田上 高広 プレート運動と山の形成 初回はビデオなどを用いて、地球上に存在する2種類の山(火山と山脈)の出来方を紹介し、地球のダイナミズムを(模擬)実感する事を目指す。2回目は、紙と鉛筆などを使って、プレート運動の簡単な解析を行う。
石川 尚人 地磁気 地磁気偏角の決定 太陽の位置観測から真北(地理的な北)の方角を決め,それに基づき磁気的な北の方角と真北の方角のずれ,地磁気偏角,を求める。
中村 大輔 岩石 偏光顕微鏡を用いた岩石の観察 地球を構成している岩石の種類を解説し、代表的な岩石の観察をしてもらう。また日本列島のような沈み込み帯の地下深部で起きている現象を解説し、実際に地下深部まで沈み込んだ岩石である高圧変成岩を観察してもらう。
金子 克哉 物質循環 伝導と対流 伝導と対流は,熱の移動の仕方として誰でも聞いたことがあるだろう.これらはどのような法則にしたがっているのか? 伝導(一般的には拡散という)や対流による熱や物質の移動によって,地球では多様な現象が引き起こされる.伝導や対流の考え方の基礎を学ぶとともに,様々な対流を実験により見てみよう.